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広報あつぎ 第1246号(平成29年1月1日発行)

世界へ羽ばたけ!2017熱気人

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神奈川県厚木市

 目標や夢に向かって新たな決意で新年を迎えた方も多いのではないでしょうか。私たちのまちには、スポーツや文化芸術などの分野で目覚ましい活躍をする人たちがいます。今回は、世界の舞台に立ち、熱い気持ちでさらなる飛躍を目指す「熱気人」の皆さんを紹介します。

◆常に限界を超えていく
パワーリフティング選手 田村 陽(よう)さん(17)
◯プロフィル
平成11年生まれ。厚木商業高等学校在学。28年に第34回全日本高等学校パワーリフティング選手権大会53キロの部優勝、世界サブジュニアパワーリフティング選手権大会53キロの部優勝など受賞歴多数。学校やジム、自宅での週6日の練習に加え、食事や体調面など、徹底的な自己管理を実践する。

「ガチャン、ガチャン」。激しい金属音が響く部屋で何度もバーベルを持ち上げているのは、田村陽さん。身長158センチ、体重59キロと小柄でありながら、160キロものバーベルを上げる高校生以下のパワーリフティングの世界王者です。 パワーリフティングは、バーベルを担いで屈伸する「スクワット」、あおむけで持ち上げる「ベンチプレス」、地面から腰まで引き上げる「デッドリフト」の3種目で持ち上げた重さの合計を競います。筋力や技術だけでなく、精神力も問われるスポーツです。
 そんなパワーリフティングを始めたのは、高校に入ってからのこと。中学時代から体を鍛えることが好きだったという田村さんは、創部2年にして、世界大会に出場している厚木商業高校のパワーリフティング部のことを知り、同校への進学を決めたのがきっかけです。
 部活動ではハードな練習を積み重ね、1年生のころから日本新記録を次々と更新。顧問の小林誠先生(26)は「自分に厳しく負けず嫌いな性格が結果につながっている」と強さの秘訣(ひけつ)を話します。昨年9月には、念願だった世界選手権に日本代表として初めて出場。得意のベンチプレスで160・5キロの世界新記録を樹立し見事、優勝を飾りました。体格で上回る世界の強豪たちに勝利したことで自信を付けた一方、「次こそは自己ベストを更新したい」と向上心は尽きることを知りません。
 「自分に限界をつくりたくない。社会人相手にも同じように結果を出せるようにならなければ」と新たな目標を見据える田村さん。静かな闘志を燃やし、今日も黙々と練習に励みます。

◆ハッピーダンスで 皆を笑顔に
ヒップホップダンサー
高橋 優亜(ゆうあ)さん(17)増田 琳花(りんか)さん(16)
◯プロフィル
高橋さん=平成11年生まれ、林在住。増田さん=平成12年生まれ、愛名在住。両者とも「コナミスポーツクラブ選抜チームJ.B.STAR」に所属。「WORLD(ワールド) HIP(ヒップ) HOP(ホップ) DANCE(ダンス) CHAMPIONSHIP(チャンピオンシップ)」に5年連続出場。26年の同大会VARSITY(バーシティ)部門(中学・高校の部)で優勝、28年の2位入賞などに貢献。

 束ねた髪を気にせず振り乱し、軽快なステップを刻む少女たち。終始飛び切りの笑顔を見せる高橋優亜さんと増田琳花さんは、ラスベガスで開かれる世界最高峰のダンス大会で数々の入賞を誇るヒップホップダンサーです。
 2人がダンスを始めたのは6歳の時。初めは「ステップを覚えて、リズムに乗って踊っているだけで楽しかった」と口をそろえますが、上達するにつれ、憧れていた世界大会出場の夢が、目標へと変わっていきました。大会に出場する選手を決めるスクール内のオーディションには何度も挑戦。念願の全国選抜のメンバーの座をつかみ、中学1年の時に国内大会を制してそろって世界大会への切符を手に入れました。
 「世界大会に初めて挑戦した年、0・04ポイントという僅差で表彰台を逃したのが本当に悔しかった」と振り返ります。敗北を糧に練習に打ち込み、3年目にしてついに世界の頂点に立つことができました。高橋さんは大会直前の練習で両手を骨折し欠場、増田さんはレギュラーを逃し補欠で参加するなど、悔しい思いも味わってきた2人。それでも「どんな時も笑顔を忘れず、人一倍練習をして乗り越えてきた」と胸を張ります。 約5000人の大観衆で熱気の渦に包まれる世界大会の決勝戦。今年はチームのリーダーとして、この大舞台での優勝を目指します。「チームのモットーは『ハッピーダンス』。見ている人も踊っている私たちもハッピーな気持ちになれるように踊りたい」―。チームで生み出すハッピーダンスで、世界に笑顔を届けます。

◆音楽を科学する
ピアノ奏者 村松 海渡(かいと)さん(19)
◯プロフィル
平成9年生まれ、森の里在住。第30回厚木市青少年音楽コンクール市長賞、第27回全日本ジュニアクラシック音楽コンクールピアノ高校生部門第1位、第17回大阪国際音楽コンクール大学生ピアノ部門第2位など受賞歴多数。27年に米国の「sience(サイエンス) fair(フェア)」に招待され演奏を披露するなど、海外にも活躍の場を拡げる。

 ひと呼吸の後、鍵盤に降りた指が滑らかに動き始めると、息を吹き込まれたピアノが美しい旋律を奏でます。村松海渡さんは、東京大学の1年生。同時に、国際コンクールで2位に輝くほどの実力を持つピアノ奏者です。
 ピアノとの出会いは5歳の時。初めはポップスや合唱曲に伴奏を付けて楽しんでいましたが、次第にコンクールへの憧れや舞台で演奏する喜びを抱き、「もっとうまくなりたい」と本格的に音楽の道を志すようになりました。
 市、県、全国と数々の賞を受賞し、順調にステップアップした村松さんでしたが、高校1年の冬、演奏で酷使した腕を痛めてしまいます。思い通りに弾けないことに焦り、練習を重ねてもうまくいかず、痛みは増す一方。そんなとき目に留まったのが、手首の酷使が腕に疲れをためることを説いた「テニス肘」に関する記事でした。
 ヒントを得た村松さんは、自分の演奏を録画して、研究。手首の力ではなく腕の重さで弾くなど、理想のフォームを追求すると痛みがなくなったことから、身体運動科学に興味を持つようになりました。現在は大学で科学の基礎を学び直す傍ら、一流の指導者の下でピアノの腕を磨き、音大の友人から授業の内容を聞くなど、持ち前の探究心で音楽と科学の両立を目指しています。
 「演奏者として大切なのは、作曲家の声に耳を傾け、曲を解釈し、自分なりに表現すること。科学の知識や考察が、その手段として多くの演奏者の役に立てば」。村松さんの飽くなき探求心は、音楽界と科学界の大きな希望を担っています。

◆ドローン新時代を拓(ひら)く
ドローンパイロット 高梨 智樹さん(18)
◯プロフィル
平成10年生まれ、戸室在住。28年に国際ドローンレース「World(ワールド) Drone(ドローン) Prix(プリックス) In(イン) Dubai(ドバイ)」の日本選考会で優勝し、本大会出場を果たす。パーツから組み立てた自作機を携え、国内外の最高峰のドローンレースに参戦中。国土交通省から航空法に基づく飛行許可を得て日々練習に励む。

 静かなモーター音とともに落ち葉を舞い上げ、ふわりと浮き上がる無人航空機「ドローン」。四つのプロペラを回して滞空する機体を操るのは、国内外のレースに参戦する高梨智樹さんです。
 大きな大会の開催は一昨年からと、まだ歴史の浅いドローンレース。パイロットは、搭載カメラから送られる映像をゴーグルで見ながら上昇や下降、ターンを繰り返しタイムを競います。時速は120キロに達し、対戦機と激しく競り合いながら空を駆け抜けます。
 高梨さんは昨年、国際大会の日本選考会で優勝を果たし、一躍名を挙げました。日本代表として賞金総額1億2千万円の本大会に挑むも、「本番前に手が震えた。世界との差を痛感した」と、決勝に進めなかった悔しさをにじませます。以来、より機体を軽く、より感触が合う設定に、より落ち着いて操れるようにと、腕を磨く日々を送ります。
 ヘリコプターのラジコンが大好きだった高梨さんは、中学生の時に見たドローンの映像に衝撃を受けすぐさま購入。「自分が飛んでいるような疾走感が最高」とその魅力にのめり込んでいきました。ところが、官邸や法要中の境内に墜落するニュースが流れると、風当たりは強いものに。そんな逆風にも「遭難者の捜索や農薬散布、宅配などでみんなの役に立てる」とドローンが秘める可能性を信じます。
 「災害時にはドローン操作を依頼されることもあり、自分にできることはどんどん挑戦したい」と熱く語る高梨さん。掲げる目標はドローンによる社会貢献とレーサーとして日本一の称号です。ドローン新時代を拓く若きパイロットは、厚木の空からさらなる高みへと飛躍を誓います。

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル