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国籍を超えた心の交流を(1)

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神奈川県厚木市

厚木市には、就労や留学などの理由で多くの外国人が暮らしています。その数は年々増加する一方、言葉や文化、習慣の違いに戸惑う人も少なくありません。国籍を超え、誰もが暮らしやすいまちにするには何が大切か。今回紹介する2人と取り巻く環境から、そのヒントを探ります。

「来日してどれくらいになりますか」「日本での生活は慣れましたか」―。多国籍の市民が会食をしながら交流を楽しむインターナショナルティーサロン(以下サロン)で、参加者に気さくに話し掛ける人がいます。バングラデシュ出身のサハ・ビプルカンテさん(37・栄町)。来日して14年目のサハさんは、市内の企業に勤める傍ら、サロンを主催する会の委員もしています。「来日したばかりの頃は、日本語が話せなくて、思うようにコミュニケーションを取れず寂しかった」。サロンでは、来日して間もない参加者に積極的に声を掛け、自身の体験や厚木で暮らす魅力などを伝えています。

■日本語が話せなくて孤独に
「バングラデシュでは、日本製のテレビやカメラがとても人気」。サハさんは幼い頃から日本の高い技術力に憧れていました。母国の大学を卒業した後、市内にある東京工芸大学の大学院で電子工学を学ぶために来日します。しかし、日本語が話せないことで友達ができなかったサハさん。「憧れの日本で学べてうれしいはずなのに、早く母国に帰りたいという気持ちが強くなっていった」と心細い日々を送っていました。
そんなサハさんの生活を変えたのが、大学の先生に勧められて参加した外国人対象の日本語教室でした。「厚木はボランティアが運営する日本語教室が充実している。言葉を教えてもらえるだけでなく、世間話をしたり、日常生活での相談に乗ってもらえたりしてすごく助かった」と振り返ります。
日本語が少しずつ話せるようになり友達も増えてきたころ、先に来日していた同郷の先輩に誘われたのが、サロンでした。「サロンでは、日本をはじめ、さまざまな国籍の人と交流し、たくさんの友達ができた。厚木での生活が楽しくなっていった」。サロンで感じた交流することの楽しさを、孤独を感じている外国人に広めるため、サハさんは運営にも携わるようになります。

■始めの一歩が大切
サロンは年に4回開催しています。サハさんは毎回すべての人と交流ができるよう自ら声を掛けることを心掛けています。中国から来日して1年半のラク・キョクホウさん(26・東町)は「サハさんは、日本の生活で分からないことや困ったことがあったら教えてくれる。日本でのお兄さんのような存在」と信頼を寄せます。
「かつての自分のように日本での暮らしに孤独を感じている外国人はまだまだ多いと思う。サロンは、その人たちにとって一歩を踏み出すきっかけの場にしたい」。サハさんの活動は、これからも厚木に住む人たちと外国人の懸け橋になります。

■地域に溶け込む
「中平自治会の河上です。よろしくお願いします」。地域の高齢者を自治会館に招き交流する、ミニデイサービスの会場。ペルー出身の河上ドリスさん(48・山際)は、丁寧な日本語で自己紹介をします。スタッフの一人として、参加者にお茶を運んだり、高齢者と一緒に手芸をしたりと、自治会活動に精を出します。

■自治会の班長に
ドリスさんは、日本の文化に触れるため、25年前に友人と来日しました。その時に出会った日系ブラジル人のマルコス武さん(44)との結婚を機に一時帰国。ブラジルとペルー、どちらに住むか迷いましたが「治安や教育環境の良い日本で子育てがしたい」と移住を決意しました。
自治会には、今の家に引っ越してきたのをきっかけに加入。昨年から班長を任されています。ドリスさんは「日本語に自信がないので、班長の仕事をきちんとできるか不安だった。良くしてくれる地域の人のために頑張ろうと思った」。マルコスさんは「妻には難しいのではないかと心配だった」と当時の心境を話します。

■みんなのサポートで
班長の仕事は、広報紙の配布をはじめ、どんど焼きや夏祭り、運動会の準備など多岐にわたります。「初めは分からないことばかりだったけど、皆さんが協力してくれたので苦労したことはない」と話すドリスさん。母の活動に対し、娘のマユミさん(12)は「お母さんが班長になってから自治会のイベントに家族で参加することが多くて楽しい」と笑顔を見せます。中平自治会の三橋敏一会長(67・山際)は「国籍は違っても同じ自治会員。ドリスさんは、地域の日本語が話せない外国人との通訳をしてくれるので、とても助かっている」とドリスさんの自治会への参加を喜びます。
「地域の人が協力して暮らしやすいまちを作っているのが素晴らしい。班長は今年度で終わりだけど、これからも自治会の活動に参加していきたい」。ペルーとは異なる日本の自治会という組織に、人同士の関わりの温かさを感じているドリスさん。これからも地域での交流は続きます。

■誰もが暮らしやすいまちに
「文化や習慣は違っても、厚木のまちが好きという思いはみんなと一緒。これからもこのまちと、ここに住む人と共にありたい」と口をそろえるサハさんとドリスさん。まちを愛し、支え合いたいと思う気持ちに、国籍の違いは関係ありません。全ての外国籍市民の皆さんが地域の中で一歩を踏み出し、共に支え合い過ごせるよう、まずは相手を知り、交流を持つことから始めませんか。

■あつぎ元気Wave
ケーブルTV:12/1~
市内で暮らす外国人を紹介

問合せ:市民協働推進課
【電話】225-2215

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル