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広報あつぎ 第1294号(平成31年1月1日発行)

厚木から羽ばたく熱気人(2)

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神奈川県厚木市

■ボウリング選手 本橋江莉(えり)さん
▽プロフィル
愛甲小4年、愛甲在住。アマカスボウリングアカデミージュニアスクール所属。県大会を勝ち抜いた11人が出場した第9回全日本小学生ボウリング競技大会・小学4年女子の部で優勝。ベストスコアは233。

13ポンドのボールを手にピンの前に立つと、あどけない表情が凛(りん)と引き締まっていく。コーチから「小学4年生とは思えない」と評される伸びやかなフォームでボールを放つのは、本橋江莉さん。昨年8月、愛知県で開かれたボウリングの全国大会(小学4年女子の部)で優勝を果たした。「1位になりたいと思っていたけど、本当になれるとは思わなかった」
本橋さんは、ボウリングが趣味だった父親に連れられ4歳の頃からボウリング場に通い始めた。小学生になると、3歳年上の姉・明莉(あかり)さんと一緒に伊勢原市にあるジュニアのボウリングスクールに加入。以来、姉と共に週3回、1時間半ほどの練習に汗を流し、県大会などで結果を残すようになっていった。
昨年、初めて出場した全国大会。「緊張はしなかった。思うように投げられない時もあったけど、狙う位置や投げ始める場所を変えて工夫した」と落ち着いた口調で振り返る本橋さん。「もっと上手になって来年も優勝したい。それとお姉ちゃんのベストスコアも抜きたい」と、はにかむその瞳は、しっかりと目標を見据えている。

■作家 深緑野分(ふかみどりのわき)さん
▼プロフィル
1983年生まれ。旭町出身。2010年デビュー。15年刊行の『戦場のコックたち』が第154回直木賞候補に選出。最新作『ベルリンは晴れているか』が第160回直木賞候補にノミネートされた(発表は1月16日)。

戦後、正義も秩序も機能しなくなったドイツ。主人公アウグステは、生きるために犯した罪への自責の念に駆られながらも、必死に生活を営んでいく。運命に翻弄(ほんろう)され葛藤する彼女の宝物は、自分を励ましてくれる一冊の本だった―。
歴史ミステリー小説『ベルリンは晴れているか』は、構成の面白さに加え情景や心情の細やかな描写が注目を浴びている。作者の深緑野分さんは、幅広い年代から人気を集める若手作家だ。
幼少期は、学校が終わると外へ飛び出して遊ぶ活発な子どもだった。「相模川や七沢の自然と触れ合った体験が創作に生きている」と話す深緑さん。本や映画が大好きで、遊びの中でも物語や世界観を作るのが得意だった。自然と創作を仕事にしたいと思うようになり、学生時代から映画の脚本や油絵などの制作に取り組んだ。しかしどれも思うように形にできず、創作意欲を消化できずにいた。
そんなとき目にしたのが、ミステリー小説の公募新人賞だった。審査員に名を連ねていた憧れの作家に読んでもらうために夢中で書き始めた。1年をかけて初めて完成させた短編『オーブランの少女』は入選を果たし、デビューが決まった。
しかしその後、思うように書けなくなった。書いても書いても「つまらない」と編集者に厳しく評価された当時を「期待に応えたくて、身の丈に合わないものを書いていた」と振り返る。デビュー決定から短編集を刊行するまでの2年でお蔵入りしたのは10作品にも上った。「もうだめかも」と悩んでいたとき、物語のあらすじを要約する仕事を頼まれた。自ら執筆するのとは違う、客観的な視点が身に付き、読者に伝えるこつをつかんでいった。「文章を書くとき、今でも一行一行迷っている」という深緑さん。手が止まったとき励ましてくれるのは、アウグステと同じく、自分に寄り添ってくれる本たちだ。
「何かに迷ったときそっと取り出す羅針盤のような、正しい道とは何かを問い掛けるものを書きたい」。飾らない言葉に力強い意思を秘めながら、今日も物語を紡ぎ続けている。

▼深緑野分をつくった本
深緑さんが選ぶ影響を受けた作品をコメントと共に紹介します。企画展では、深緑さんの作品と併せて展示・貸出します。
▽海と毒薬 作 遠藤周作/出版 新潮社
私の心臓の一番近いところにある本。人間とは、罪とは、救いとは何かを問い続けた作家だと思います。

▽少女には向かない職業 作 桜庭一樹/出版 東京創元社
心がざわざわしている人は桜庭さんの作品を読もう。きっともっとざわざわするから。でもそれがいい。

▽ぼくのつくった魔法のくすり 作 ロアルド・ダール/訳 宮下嶺夫/出版 評論社
子どもの頃、本が苦手だった私をとりこにした世界一の作家。笑えて、ちょっと毒があって、でも正義感に満ちています。

▼企画展 1月4~31日
会場:中央図書館
時間:9~19時
お薦めの本:
・ずっとお城で暮らしてる/シャーリイ・ジャクスン(東京創元社)
・きょうはこの本読みたいなねる前に読む本/アンソロジー(偕成社)
・嘘の木/フランシス・ハーディング(東京創元社)
・卵をめぐる祖父の戦争/デイヴィッド・ベニオフ(早川書房)
・休戦/プリーモ・レーヴィ(岩波書店)など

▽お年玉企画 直木賞候補作サイン本プレゼント
企画展で深緑さんにメッセージを書いた方の中から、3人にサイン本をプレゼントします。
申込み:展示場所にあるカードを応募箱へ。抽選。

問合せ:中央図書館
【電話】223-0033

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル