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広報あつぎ 第1300号(2019年4月1日発行)

2020東京で輝く(1)

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神奈川県厚木市

私たちの身近な場所で、夢の舞台を目指し挑戦を続ける人たちがいる。二人のパラアスリートの視線は2020年の東京で輝く自身の姿をしっかりと見据えていた。春の訪れとともに、東京オリンピック・パラリンピックの足音が聞こえてきた。
あつぎ元気Wave:4/1~CATVで放映

■トライアスロン高橋勇市(ゆういち)さん
▽プロフィル
1965年生まれ。高校2年の時に目の病気を発症し34歳で失明。96年アトランタパラリンピックのマラソンをラジオで聞き競技を開始。2004年に出した2時間37分43秒は当時の世界記録で、現在でも日本歴代2位。三菱商事株式会社に所属し、練習の傍らパラアスリートへの理解を深める講演会活動なども実施

「東京パラリンピックは、何が何でも出たい」。高橋勇市さん(53・東京都)は、真っすぐな表情でそう話した。高橋さんは、厚木市の友好都市・秋田県横手市の出身。15年前、アテネパラリンピックのマラソン(視覚障がいの部)で金メダルを獲得し、北京・ロンドン大会にも出場した。しかし、前回のリオデジャネイロ大会には出場を果たせなかった。
そんな高橋さんが、東京大会出場を目指し選んだ種目がトライアスロン(下欄参照)だった。「マラソンより負担が少なく、好きな走りを生かせる」。手探りで競技を始めて約1年半、持ち前の走力で結果を残し、現在の世界ランキングは25位。東京大会への出場権を得られる可能性の高い、ランキング10位程度を目指し、経験が浅く伸びしろが大きい水泳と自転車を重点に、練習に明け暮れている。

▽選手の目となるガイド
視覚障がい者のトライアスロンは、1人のガイドが選手の目となり、3種目を共に競技する。新しい挑戦には、トライアスロン経験のあるガイドが必要だった。活動を支えてくれている所属企業を通じて多くの選手に声を掛け、見つかった候補者は現在3人。高橋さんは「ガイドとの相性はとても大切。体格、歩幅、利き足、気遣いなど、細かな部分で結果が変わる。選ぶのは心苦しいけれど、最も力を出せる相手を見極めなければいけない」と、交代で練習やレースを共にしている。

▽友好都市のパートナー
「左に曲がります。さん、にい、いち!」。夕暮れ時のサイクリングコースに響くガイドの声。二人乗り自転車の前席から、後席の高橋さんに声を掛け、息を合わせて体を傾けカーブを抜けていく。ガイドの一人、亀井健太さん(37・妻田北)は、昨年8月から高橋さんと東京大会を目指している。厚木市で働く亀井さんは、勤務後や休日に高橋さんの元へと通う。
トライアスロンの仲間から誘われ高橋さんと出会った亀井さん。ガイド経験のなかった亀井さんは、高橋さんと練習する中で、誘導の方法を身に付けていった。出会って1カ月後に出場した、霞ケ浦トライアスロンフェスタ。初めてのレースながら、健常者も交えた大会で、年代別の2位に入った。「スイムでうまく誘導できず、伴泳ロープをコースを示すブイに絡ませてしまった。高橋さんに合わせてもらった部分が多かった」と反省を口にする亀井さんの横で、高橋さんは「相性がいい」と感じていた。
翌月、米国で開かれたパラトライアスロンの国際大会に出場した二人は、先頭でゴールを駆け抜けた。亀井さんは「2位で最終のランに入った時、高橋さんは『前との差は?』と聞き、苦しい表情でペースを上げた。常に1位を目指す姿は本当に尊敬する」と刺激を受けている。

▽諦めない強い心で
高橋さんは今年、20年を見据え5レースほどの国際大会に出場する。亀井さんは「高橋さんが出場できるように自分も努力する。最後に私をガイドに選んでもらえるかは分からないけれど、ベストを尽くします」と力を込める。
34歳で光を失っても自分の限界に挑み続けてきた高橋さんには、信念がある。「諦めなければ必ずチャンスはやって来る」。多くの人に支えられ培ってきた強い心を糧に、高橋さんはただ前だけを向いている。

▽パラトライアスロン
スイム(750メートル)バイク(20キロ)ラン(5キロ)を1人でこなす競技。ガイドも3種目を一緒に競技する。高橋さんは視覚障がいクラス(PTVI)で出場を目指す。
日時:20年8月29・30日8~13時
会場:お台場海浜公園

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル