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広報あつぎ 第1304号(2019年6月1日発行)

6月は環境月間「もったいない」で支え合い 食を大切に(1)

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神奈川県厚木市

スーパーやコンビニ、飲食店などでいつでも食品が手に入る飽食の時代。まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」が世界規模で問題になっています。食品を買い、料理を作り、それを食べる私たちは皆、問題の当事者です。今回は、食品ロスを減らすために活動する人々の姿から、一人一人ができることを考えます。

あつぎ元気Wave:6/1~CATVで放送

「お歳暮で頂いたうどんが食べ切れなくて。少ないけど、誰かに食べてもらえたら」。あつぎ市民交流プラザの一室に、米やレトルト食品などの食べ物を持った人たちが列を作ります。そろいのエプロンを身に着け、食品の賞味期限や状態を一つ一つ確認していくのは、「フードバンクあつぎ」のメンバーです。今日は、月1回の食品回収の日。家庭で余っている食品を集めて、支援を必要としている人に届けるフードバンク(下欄参照)の活動の一つです。
「こんなにたくさんの食料を届けてくれた皆さんの気持ちを無駄にはできない」。指揮を執る平野祐司さん(64)は、コンテナいっぱいに預かった食品を眺めながら、決意を新たにしていました。

■減らない食品ロス
日本は、世界でも有数の食品ロスが多い国です。食品メーカーや小売店での販売期限切れによる廃棄や家庭での食べ残しなど、年間約643万トン(2016年度農林水産省、環境省調べ)が捨てられています。市内でも年間約6千トンが廃棄され、処理に伴う環境への負荷や経費の増大などが問題になっています。
こうした状況の中、フードバンクあつぎは、高齢者の介護や障がい者の就労支援などに取り組むNPO法人Heart34(ハートみいよ)の従業員が中心となって、18年に結成しました。「これだけの食品が捨てられているのに、世界にはご飯を満足に食べられない人がいるという現実を知り、できることはないか考えるようになった」と平野さんは振り返ります。同じ活動をする団体の視察などを重ねてノウハウを学び、4月には市と市民が協働で事業に取り組む市民協働提案事業として本格的に活動をスタートしました。

■余った食品を困っている人に
「食べ物を分けてもらえませんか」。初めての食品回収を終えてホッとしていた矢先のこと。ひとり親家庭で中学生の娘を育てる30代の女性から、一本の電話が入りました。持病や仕事の都合で十分な収入が得られず、生活が苦しいという相談でした。「大変だったね」。フードバンクあつぎは、女性と面会して状況を確認した後、米や缶詰などを女性に手渡しました。「大変な毎日だけど、頑張れそう」。そう話す女性の目には、うっすらと涙が浮かんでいました。平野さんは「支援が必要な人がいる現実を目の当たりにし、改めて困っている人の力になれる活動にしていきたいと感じた」と話します。
フードバンクあつぎが回収した食品は、事業所に設けた倉庫で保管し、食べ物を必要とする個人や事業所の元へ届けられます。受け付けた利用申し込みを基に、本当に支援が必要な人に届くよう、市と相談しながら受け渡し先を決めていきます。在庫以上の申し込みにも支援が行き渡るよう、日本初のフードバンクとして全国展開する「セカンドハーベスト・ジャパン」と食品提供の協定も結びました。今後は、市内の子ども食堂や地域の居場所づくりに取り組む団体などへの提供も検討しています。フードバンクとの連携を決めた「ままカフェ子ども食堂」の山田啓子さん(40・愛甲)は「多くの人に食事を提供するためにも、食材が必要。食品ロスを活用できれば、経費を抑えて無駄も省ける良い循環が生まれるのでは」と期待を込めます。

■一人一人の行動につなぐ
国内のフードバンクの取り組みは世界でも歴史が浅く、2000年に端を発します。現在では全国で約80団体が活動していますが、全体の食品取扱量は約4200トンと、廃棄される量の1%にも及んでいません。平野さんは「活動は食品ロスと向き合うきっかけにすぎない。一人でも多くの人に無駄を減らそうという意識を広められるかが重要」と力を込めます。市内企業に食品提供を呼び掛けたり、イベントでブースを出したりと啓発活動にも力を入れ、効果を検証しながら事業を進めています。
「食品は余らせないのが大前提」と平野さん。「それでも余った食品が出たときに、誰かの役に立てる仕組みにしていきたい」。〝もったいない〞を〝ありがとう〞に変える、フードバンクあつぎの挑戦は続きます。

問合せ:環境事業課
【電話】225-2793

■フードバンクって何?
家庭や企業などで余った食品を集め、必要な方に無償で提供する取り組みです。

利用には要件などがあるため、希望する方はHeart34に電話で確認してください。

問合せ:NPO法人Heart34
【電話】220-5088(10~16時)

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル