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広報あつぎ 第1308号(2019年8月1日発行)

未来へ続く交流を NZと共に歩む道(1)

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神奈川県厚木市

開幕までいよいよ一年を切った東京五輪・パラリンピック。厚木市はこれまで、ホストタウン相手国のニュージーランド(NZ)と、スポーツや文化、教育などさまざまな分野で交流を重ねてきました。特集では、これまで深めた絆の軌跡と、大会に向けて広がっていく交流の輪を紹介します。
あつぎ元気Wave:8/1〜CATVで放送

2016年1月、市は東京五輪・パラリンピック大会で参加国と交流するホストタウンに登録されました。相手国はNZ。登録を受け、市では「キャンプ」「スポーツ」「歴史・文化」「教育」「食文化・農業」の五つを柱に据えた交流計画を定めました。以降、スポーツ教室や体験留学といったNZとの交流を通して、広い視野を学び、将来世界を舞台に活躍できる人材を育てるため、これまでに50を超える事業を実施してきました。

■キャンプ誘致で子どもたちに夢を
五つの柱の中でも特に力を入れてきたのがキャンプの誘致です。市はラグビーやバスケットボール、ゴルフなどの競技協会との交渉を重ね、試験的なキャンプの受け入れも実施。その結果、今年2月にNZバスケットボール協会と大会に向けた事前キャンプに関する合意書を締結し、4月にはゴルフ協会とも合意に至りました。
「ゴルフが盛んなNZとの交流は、プロを目指す子だけでなく、これから始めてみたいという子どもたちにも良い刺激になる」と話すのは、市ゴルフ協会の会長・長澤安夫さん(67)。キャンプの誘致により、世界を舞台に活躍する選手の姿を間近で見ることで、子どもたちが夢や自信を持つことはもちろん、選手によるクリニックや交流イベントを通して実際に競技に触れるきっかけ作りにもつながると期待を寄せます。
「厚木に来てもらうだけでなく、ゆくゆくは厚木からもNZへ行くような相互交流の輪が広がれば」。長澤さんは、大会の先に続く交流を見据えています。

■スポーツから生まれる教育交流
キャンプ誘致の他にもスポーツで親交を深めた人たちがいます。5月、NZの体育教師10人が厚木北高校を訪れました。訪問は、NZとアジアの教育や文化など多岐にわたる交流に取り組む、アジアNZ財団との連携により実現。教師たちは、NZの先住民族・マオリの伝統文化を用いたゲームを紹介し、頭や体を使いながら生徒たちと絆を深めました。さらに、スポーツ教育に力を入れる北高の部活動の様子なども視察し、指導方法を自国へと持ち帰りました。財団で教育部門の交流推進を担うヤシーカ・バートラムさん(36)は「他国の教育の在り方を知ることで、自国の教育方法を見つめ直すきっかけになる。互いに良いところを吸収し合っていきたい」と、交流を通した両国の教育環境向上を目指します。
市はこの機会を捉え、市の教員たちの学びにもつなげています。8月には市内小・中学校の教員2人を2週間にわたりNZに派遣。語学教育のノウハウを学び、子どもたちへの教育に生かしていきます。

■触れ合いから学ぶおもてなしの心
教育交流も積極的に進めています。18年にはNZの教育などに関する政府機関「エデュケーション・ニュージーランド」と教育交流を進める覚書を締結。市では機関の協力を得て、市内中学・高校生のNZ体験留学を毎年実施しています。
厚木西高校2年の本間水結(みう)さん(16)は、19年に体験留学をした一人。語学だけでなく、現地の人との交流を通して、他国籍の方との触れ合い方を学びました。多種多様な民族が共生するNZ国民の寛容さに驚いた本間さん。「日本人は外国人と接するとき、『どこか違う特別な人』と壁を作ってしまう人が多いが、NZの人はこちらが気にするほど壁を感じていなかった」と振り返ります。「壁は作った側からしか壊せない」。本間さんは、ホストタウンとしてまち全体が外国人を受け入れられるよう、留学で学んだことを生かして、市民が持つ壁を低くする手伝いができたらと、意気込みます。

■関心を持つことが交流の一歩
「ホストタウンとなったことで、これまで関わりの無かった国を身近な国として考えてもらうきっかけとなった」と話すのは、戸田小学校の校長・馬場良一さん(60)です。戸田小では3月に、児童たちがテレビ電話でNZの子どもたちと交流しました。「どこか別の世界と感じていた他国のことも、実際に言葉を交わすと身近なものに感じ、興味・関心が深まる」。言葉は分からないながらも、身振り手振りでNZの子どもたちとコミュニケーションをとる児童の姿に、馬場校長は確かな手応えを感じていました。
子どもの頃から積極的に海外の人と接することが、国際交流の敷居を下げます。馬場校長は「五輪は子どもたちが外国の人と身近に触れ合える大きなチャンス。たくさんの方と交流し、世界に興味を持つきっかけにしてほしい」と話します。

■大会後も持続する交流を
ホストタウンの役割は、大会の閉幕と共に終わるものではありません。NZとの交渉や市を訪れた選手などの案内役を担う国際交流推進員のキム・マリーさん(37)は「今まで積み重ねてきた交流を一過性のものとしないためには、まずはお互いに関心を持ち、好きになることが大切。市民の皆さんにはホストタウンであることをきっかけに、NZと積極的に関わりを持ってほしい」と力を込めます。
市では、大会に向けてキャンプやイベントなどを実施。市民の皆さんがNZの人々や文化に触れられる場をつくり、未来に続く絆を深めていきます。

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