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広報あつぎ 第1310号(2019年9月1日発行)

出会いを重ねてすてきに生きる(2)

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神奈川県厚木市

■自分らしさを、モノで語る。
好きなものに生き生きと打ち込む皆さんに、大切な宝物やこだわりのある道具など、自分らしさを象徴する品々を教えてもらいました。

▽独立後の初舞台で使った扇子
日本舞踊講師 平井絹江さん(船子)
30年以上、日本舞踊を教えています。上品で美しい振りだけでなく、クスッと笑える展開など、踊りには多彩な魅力があります。
体を壊した60代の時、人の支えがなければ生きていけないと実感し、できる限り自分の人生に責任を持つため家元から独立しました。福祉への恩返しとして、お弟子さんや他の先生の協力を得て年に1回ほどチャリティー発表会を開き、収益を寄付しています。あいさつを書き込んだ扇子は、独立後の初舞台に向けて準備した品。支えてくれた皆さんに間違いなくお礼を伝えるため、とても緊張していたことを思い出します。

▽ここぞという時の料理道具
料理愛好家 渡邉征一さん(77・愛甲東)
食べるのが好きで料理をするようになり、会社員時代に調理師免許を取りました。今は公民館などで料理教室を開いています。市民運動会や祭りの時に料理を振る舞って、みんなにおいしいと喜んでもらえるのがとてもうれしいです。使う道具にも気を使っていて、特に包丁は切れ味の違いで料理の味も変わるので小まめに研ぎます。専門店で名前を彫ったこの包丁は、地域の催しなどで一度に大量の料理を仕込むときに使うこだわりの品です。

▽恩師からの絵手紙
絵手紙講師 山下和江さん(72・鳶尾)
絵手紙を始めて20年ほどになります。昔から絵を描くのが好きで、友人の誘いで簡単な道具でできる絵手紙を始めました。今は輝き厚木塾をはじめ、16の教室で講師をしています。魅力は、季節感のある絵に添えて気持ちを伝えられること。送る相手を思いながら描くように生徒さんには伝えています。宝物は、亡き恩師から届いたたくさんの絵手紙です。贈り物へのお礼や私を気に掛ける言葉が詰まっていて、見るたび温かい気持ちになります。

■人生100年の時代は好きなことを見つける
東京大学高齢社会総合研究機構特任講師 後藤純さん(40)
医療の進歩や経済成長などで、定年後も数十年生きる長寿の時代になりました。かつて当たり前だった、60歳で引退した後は余生という考え方は変わりつつあります。若い世代を含め社会全体で「人生70年」の考え方が根強く残っていますが、人生を充実させる戦略を、時代に合わせて変えていく必要があります。
老いへの不安の多くは、ライフスタイルや時間に自由がきくようになり、選択肢が増えたことで生まれたものです。選ばなかった道を後悔し、老いた先の未来を考え、「自分の選択が正しかったのか」「この先、体や認知の機能が衰えても幸福に生きていけるのか」と考え込んでしまうのです。
年を取るのを止めることはできません。しかし、長い人生を豊かに生きる選択肢は無限にあり、正解・不正解はありません。これからの時代は「緩やかなコミュニティー」が大切になっていきます。若いうちから好きなことに打ち込み、気の合う人を見つけてつながりましょう。家族以外にも、楽しみや不安を分かち合ったり、いざという時に頼ったりできる居場所をつくることが、「人生100年」の時代を幸福に生きるポイントです。

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル