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広報あつぎ 第1316号(2019年12月1日発行)

特集 無意識の偏見 普通って何だろう(2)

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神奈川県厚木市

■私と誰かの普通のあいだ
▼母はきっと「普通の子に育てなきゃ」と考えていた
ノアさん・仮名(25・市内在住)
出生時に割り当てられた性別は女性だが、体と心の性が一致しない性同一性障害。社会的には男性として過ごすことを望むが、今は性別を決めないことを選んでいる。

自分は性別を男女どちらにも決めない「クエスチョニング」(下記参照)で、性同一性障害でもあります。違和感を例えるなら、脱げない着ぐるみを着ている感覚。本当の自分が中にいるのに外からは見えず、着ぐるみとして過ごさせられる息苦しさ、戸惑いが常にある感じです。違和感に気付いたのは、中学生の時。制服や体育の授業など性別ではっきりと分かれるようになって初めて、どちらかに所属させられることへの強い苦痛を感じました。女性ではないのに女子生徒用の授業を受けなければいけないのが悔しくて、教室で大泣きしてしまったこともあります。高校に進学しても、事あるごとにグループ分けがある学校という場所になじめず、徐々に休みがちになりました。
その頃、親に自分の違和感を打ち明けたけれど「勘違いだ」と一蹴されました。特に母からはその後も「女の子なんだから座るときに脚を開かないで」などと叱られました。かたくなな母に自分も感情的になり、衝突が絶えなくなりました。当時は学校にも家にも居づらく、居場所を必死で探していたことを覚えています。
17歳くらいの時、母との大げんかの果てに家出して街をさまよい、地域の相談センターに駆け込みました。でも、相談員さんは「親御さんが心配しているから早く帰った方がいい」の一点張り。その人も自分や家族を案じて一生懸命だったのだと思いますが、自分の居場所はどこにもないんだ、と途方に暮れました。
きっと母も母なりに、「普通じゃないと生きづらいから、教育してあげなければ」と考えていたのだと思います。でも自分は、普通の男女という枠に当てはめられることが苦しかった。どちらでもない、普通じゃない自分の存在を、ただ母に認めてほしかったんです。
今もセクマイは、多くの場所でいないものにされています。でもきっとほとんどが、打ち明けられない、気付いてもらえないだけ。普通ではなくても存在していること、普通という枠組みに苦しんでいる人がいることを、多くの人に知ってほしいです。
今は、以前の自分のように苦しんでいる人たちが、自分らしく過ごせる居場所をつくれないか考えています。

▽セクシャル・マイノリティー(性的少数者)って?

多くの人は体の性(性染色体や内外性器)と心の性(性自認)が一致し、好きになる性(性的指向)は異性です。でも、この枠組みに当てはまらない人が国内でおよそ5%いるといわれ、その人たちをセクシャル・マイノリティー(セクマイ)と呼びます。「LGBTQ」はセクマイをおおまかに分類した呼び方で、これに当てはまらない人もいます。

▼誰でも、苦手や不足を抱えている
中山喜美子さん(70・鳶尾)
ボランティアで子育てサロンやコミュニティーカフェを手伝っています。人とのつながりが私の元気の源。催しを楽しむ人たちを見ると、生き生きと活力が湧いてくるのを感じます。
民生委員としても活動していたことがあり、これまで身体障がいや認知症、貧困など、さまざまな悩みを持つ人と接してきました。その中で感じたのは、どんな人でも大なり小なり苦手なことや足りないものがあり、それが普通だということ。私は左利きを右にしたので、字を書くのが苦手です。活動を通じて、人は完璧ではなくても、お互いが毎日を幸せだと思えるよう補い合っていけるのだと気付きました。
カフェの常連さんにもこれから新しく出会う方にも、世間一般の理想を押し付けるのではなく、一人一人の生活や考え方に寄り添いながら関わっていきたいです。

■市民の皆さん167人にアンケート(10/17〜31)偏見を感じたことありませんか??
容姿:
・小学生の頃、髪の色が薄く「外人」とからかわれた(30代女性)
・「体が大きいのに、難しそうな本なんて読むんだ」と言われた(40代男性)
年齢:
・職場で「経験が浅いから君には無理」「若い人にできっこない」と言われた。結果を出したら態度が変わって、嫌な気持ちになった(30代男性)
・ゆとり世代なので「ゆとりは〜」と決め付けられることがある。いつ生まれでもちゃんとしている人はしているし、していない人はしていないと思う(20代女性)
体:
・難聴なので「反応が遅い」と言われた(60代男性)
・不妊で悩む夫婦に「考え過ぎが原因だろう」と言ってしまったことがあり、とても後悔した(40代男性)
学歴:
・大学を中退したことや、社会経験がないことで、頭が悪いと思われた(20代男性)

・人は順番を付けたり分類したりしながら生きるものなので、偏見は決してなくならないと思う(50代女性)

▽人権擁護委員の無料相談
差別やいじめなど、人権に関する問題を相談できます。
日時:12月4日(1)9~12時(2)13~16時
場所:市役所本庁舎。
申込み:当日直接窓口へ。

問合せ:市民協働推進課
【電話】225-2215

〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2-21-11 山竹ビル